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2008.08.29

虹の泉訪問記 その1

日本珍スポット100景で知って驚嘆して以来、ずっと行きたかった「虹の泉」を訪ねてきた。「虹の泉」とは、三重県松阪市の山奥で、陶芸作家の東健次氏がたったひとりで作り続けている芸術空間のことである。今年で30年目を迎えた現在も制作中で、実に33年の歳月をかけて完成された「シュヴァルの理想宮」を一つの目標にしておられるそうだ。

「理想宮」は現在、国の重要建造物に指定されているが、受付の女性(たぶん奥さん)に話を伺ったところ、「虹の泉」も松阪市による保存が検討されているそうだ。これまで行政にはほとんど頼らず、地域住民や支援者の支えを受けてきた「虹の泉」だが、この偉業を後世に残していくためには、どうしたって自治体による保存、補修が必要である。とにかく、作家の意向を最大限汲んだ、良いかたちでの保存方法が検討されることを願います。

さて、このエントリの目的はもちろん、「虹の泉」を広く知ってもらうためだが、こちらこちらなど、応援されてる方々のサイトはすでに存在しており、読売新聞でもとりあげられているため、言葉による解説はかなり整っているといえる。なので、ここでは主に写真をきちんと載せようと思う。というのも、WEBで見れる画像の多くが、解像度が低いためすごさが伝わりにくく、どうも「珍スポット」「B級スポット」的な印象をもたれてしまってる気がするからである。行ってみて思ったけども、そういった括りとは一線を画す素晴らしすぎる空間なので、その魅力の一端が伝われば良いと思う。そして、この芸術を理解する訪問者が増え、資金に困ることなく制作に打ち込めるようになればと願う。あいにく東氏ご本人はいらっしゃらなかったのだが、受付の女性(たぶん奥さん)にお話を聞いたところ、常に資金不足に悩まされているとのこと。私も及ばずながら寄付してきましたが、ほんとに全然焼け石に水なので、お金持ってる人、どうか支援をお願いします。いつか完成した姿を見てみたいので。

以下、写真はクリックで大きくなります

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まずは全景。正面に見えるのがメイン部分である大陶壁、翼壁、茂みのコーナー(名称はすべて冊子『陶芸空間 虹の泉』より)。

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モザイクがかかってるのは友人。彼がいることで、おおよその規模がわかってもらえると思う。

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大陶壁側から反対方向を眺める。

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手前がミューズの丘、奥がイリスの壁。この壁に貼りつけてあるレンガ状のブロックは、来場者が1枚4000円で購入し、自由に造形することができる。日付けがいれてあるものが多く、「1984年」などというものを見ると、時の蓄積を非常にリアルに感じる。

虹の泉訪問記 その2へ続く

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虹の泉訪問記 その2

全体を把握してもらったので、次は少し寄った写真を載せていこう。

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まずは人像樹のコーナー。

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背後から眺めたところ。地面のタイル貼りが若干残っているものの、人像樹はすべて完成しているそうだ。

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イリスの壁。裏にある大きな木と調和しててかなり良い雰囲気。

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イリスの壁から入り口側を眺める。受付けの小屋あたりには小さな噴水をつくる予定らしい。

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茂みのコーナーを横から見たところ。このメイン部分は、つぎのエントリでたっぷり載せます。

虹の泉訪問記 その3に続く

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虹の泉訪問記 その3

「虹の泉」におけるメイン部分「茂みのコーナー」である。ここに置かれた陶像たちは(もちろん他もそうだが)すべて一点もので、同じものはない。あたり前だけど、原型を作って型どりしたわけではない。おびただしい数の陶器作品たちは、この空間を構成するためにひとつひとつ作られ、配置されていったのである。ひとつ完成させてはわずかな場所を埋めていく、そんな気の遠くなる作業を延々くり返してきた結果が、この景観なのだ。オリジナル(一点もの)にこれだけの密度で囲まれるという体験はなかなか無い。しかもすべてが一人の作品。日常とはレベルの違う、純度の高い空間というものを感じた。

ここの写真を撮っているときは特に楽しかったけど、ころんだりぶつかったりしないよう、たいへん気を使った。なにしろ陶器なので、欠けるし、ヘタすりゃ割れてしまう。

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陶像に切れ目が見えるのは、分割して中にコンクリートを流し込んだうえで、積み重ねているからである。これによって強度が保たれているらしい。

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手を抜いてる部分がなく、どこを見ても複雑な造形でくらくらしてくる。

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こどもが周囲を囲む泉。ここは唯一水が張られている。

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東先生は、陶器にまわりを囲まれたときの人間の心理というのに興味があるそうだ。ぜひ、この茂みのコーナーの真ん中に立って、感じたことを伝えてあげて欲しい。

虹の泉訪問記 その4に続く

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虹の泉訪問記 その4

「虹の泉」に関するWEBサイトを見ていて気付いたのが、像の細部を撮った写真があまりないということだった。その3で見ていただいた群像の様子も凄いのだが、陶像ひとつひとつをとっても充分鑑賞に堪えるクオリティなので、ここではアップで撮影した写真を載せていきたい。それによって、陶器の質感なども伝わると思う。

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大陶壁下の女性像。顔の造形で一番惹かれた。髪の部分の錆びたような色合いは釉薬で表現されたものだと思うけど、錆びた質感+ひび割れが経年を感じさせる効果を生んでいて、かなりカッコイイ。

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同じく大陶壁下の男性像。陶器の継ぎ目からのぞくコンクリートが傷みたいで生々しくて、これまたカッコイイ。

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またまた大陶壁下の男性像。ここに並ぶ像はどれも気合いの入った作品ばかりでカッコイイです。

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リアルな人型が多いなか、珍しいかたちをした像。グラデーションのかかったキレイな色合いにしびれます。

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この色は狙ってやったのだろうか。異様にカッコイイおじいさん。上部がすっぱり切れてるので、この上にまだ積み重なるんだと思う。

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翼壁に置かれた子供の像。陶器らしいツヤのある質感。

虹の泉訪問記 その5に続く

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虹の泉訪問記 その5

最後に、陶像ひとつひとつの細部とは別の「細部」である地面に張りめぐらされたタイルと、イリスの壁でおもしろかった作品を載せていく。

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地面のかなりの部分に、このような直径5~6cmほどのタイルが埋め込まれていて、

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それらがこのような床をつくりだしている。こういった地道というほか無い作業も、すべて自分ひとりでおこなう東先生の情熱にはもうひれ伏すしかない。さらには、「虹の泉」の東側は川に面して崖になっているのだが、そこには植樹をして崖を目立たなくするとともに、四季を楽しめるようにしたのだという。単に陶芸作品をつくるだけでなく、まさしく芸術空間をつくっているのだと思わされる。

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ここ、イリスの壁のみが東先生以外の人間にも制作を許された場所なのだが、おもしろいものがあったので少し載せておきたい。

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大きさがあまりにピッタリで笑った。色付けは東先生がおこなっているそうだが、ちゃんとそれらしい色にしてあるのが尚更良い。

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「東先生をはげます会 有志一同」と書かれた大作で、全体は写せなかった。かなりクオリティの高い乙女像のレリーフから流れる水の先には、なぜか河童とかもいました。

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以上で、虹の泉訪問記は終わりである。これを書くにあたって写真のサイズをどうするかが悩みだった。というのも、詳細を知らせすぎると、見た人が実際に足を運ばなくなるのでは思ったからだ。結局、比較的大きな写真を載せることにしたのは、小さい写真から想像を膨らませて「行ってみよう」と思う人もいれば、はっきり写った写真を見て、「これなら楽しめそうだ」と確認する人もいるだろうと判断したからだった。どちらにしたって、行ってみなければ本当の魅力はわからない。私が行ってみて感じたのは、「遠かったけど本当に来て良かった」ということだった。今まで行こうとは思わなかった人が、訪ねてみる気になってくれれば嬉しい。

尚、私は東先生にはお会いできなかったのだが、受付の女性(たぶん奥さん)にお聞きした話では、30年目を迎えて一息ついたというか、すこし気力が落ちているらしい。そういう事情もあるので、ぜひ多くのお客さんに訪ねてもらい、気力を取り戻して欲しいです。

【虹の泉データ】(2008年夏現在)

住所 三重県松阪市飯高町波瀬(国道166号線沿いなのですぐわかります)

電話 0598-45-1046

定休日 無休

営業時間 09:00~17:00

入場料 大人500円、高校生200円、子供100円

販売物 東先生の半生をまとめた冊子『陶芸空間 虹の泉』1200円

……一応これで終わりなのだが、番外編として、行く途中にあったとんでもないモノを最後に紹介しようと思う。

虹の泉訪問記 番外編へ続く

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虹の泉訪問記 番外編

「虹の泉」とは直接関係ないものの、向かう途中、とても見過ごせないインパクトのある景観があったので紹介しておきたい。詳しい地名はわからないが、松阪市街地方面から国道166号線で向かって、目的地まであと15~20分程度といった位置にあった、この景観。

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カーブを曲がると突然目に飛びこんでくる、暴力的な景色。思わず「うおおー!」と叫んだあと、友人と二人で大笑いした。

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前から来た車があのサイズということから、このとんでもないスケールがわかると思う。

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山の斜面に添ってぐにゃぐにゃ。

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おそらく土砂崩れポイントなのだろうし、山を固めるのはいいとしても、なんでこんなにツギハギだらけなんだろう。あまりに醜い。それゆえに強烈に惹かれるわけだが。

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こんな景観見たことない。

柴田敏雄という写真家がこれに似た景色を集めた写真集を出しているけど、そのなかにもここまでイカれた山はなかった。というか、柴田氏の作品は、規則正しく並んだコンクリートの格子模様が美しい写真だったが、この山の格子はサイズもバラバラ。最初は理由がわからなかったけど、おそらく、山を少しずつ切り開いては固めていった結果なのだと思う。ならば、さらに拡がる可能性も? などと期待してしまうが、残念ながら工事をしている様子はなかった。

Shibata

↑唯一持ってる写真集。ブックオフで700円だった。他のは高くて手が出ません。

「虹の泉」目当てに行ったら、思わぬ巨大な副産物に出会って大満足だった。いつになるかわからないけど、つぎに訪れる時は、この山がどう変化しているのかも、たいへん気になるところである。

【備考】すぐ近くに車を停めるちょっとしたスペースがあるので安心して写真が撮れます

終わり!!

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